市場全体の状況
ビットコインは1031万円前後(現在6万3900ドル水準)で1.1%の下落となり、イーサリアムも同程度下落しています。アルトコイン市場も全面安となっており、直近では下落基調が続いている状況です。
暗号資産市場全体の時価総額は約2兆1500億ドルで、直近1週間では+2.30%と週間ベースでは上昇しています。一方で、市場心理を示す恐怖・貪欲指数(FGI)は「29:恐怖」の水準にあり、投資家心理は依然として慎重・神経質な状態です。つまり、価格自体は上がっている場面がありながらも、投資家心理はそれについていけていない、ややねじれた状態にあると言えます。資金はビットコインに集中する傾向が強まっており、ビットコイン優位性(ドミナンス)も上昇しています。
マクロ・地政学リスク
イラン情勢の緊迫化
現在の相場を大きく左右しているのが地政学リスクです。イラン情勢の緊迫化が継続しており、米兵2名が死亡したことを受け、トランプ大統領は反撃強化を連日発言しています。米軍によるイラン攻撃はすでに9日連続となっており、ホルムズ海峡ではタンカー2隻が航行不能になるなど、状況は明らかに悪化しています。
この地政学リスクの高まりは原油価格にも如実に表れており、WTI原油価格は一時66ドル付近まで下落していたところから、83ドルまで急上昇しています。今後の先行き見通しは立てづらい状況が続いています。
今週・来週の経済指標
今週は大きな経済指標の発表はありませんが、木曜日の新規失業保険申請件数、金曜日の新築住宅販売件数など、景気動向を見極める上でチェックしておきたい指標があります。
より重要なのは来週です。来週開催されるFOMCが最大の注目イベントとなります。利上げ自体が実施される可能性はほぼ無いとみられていますが、パウエル議長がどのような発言をするか、そして今後の利上げ見通しについてどのような見解を示すかが焦点となります。また、来週木曜日にはPCE(個人消費支出)の発表も控えており、引き続きインフレの最新データをタイムリーに追う必要がある局面です。
資金フローと規制動向
ビットコインETFへの資金回帰
ビットコインETFへの資金流入が復活しつつありますが、その金額自体はまだ僅かなものです。それでも、以前のような大量流出の相場とは明らかに潮目が変わってきている点は見て取れます。この変化は7月に入ってから顕著になっており、背景としては、①AI関連銘柄に向かっていた資金が一旦巻き戻ってきていること、②IPO市場に流出していた資金が回帰してきていること、の2つの側面が考えられます。
規制環境の整備が進む
規制面では、欧州で暗号資産市場規制「MiCA」の導入が進行しています。米国ではSECがデジタル資産を最優先事項の一つと位置づけ、市場構造法案である「クラリティ法案(Clarity Act)」の審議も進められています。2026〜2030年の戦略計画においても規制基盤の整備が明言されており、規制対応を先行して進めてきたXRP(リップル)のような銘柄には追い風となる一方、対応が遅れているプロジェクトには逆風になる可能性があります。
クラリティ法案については、トランプ大統領主導で審議が加速しており、上院議員を集めての協議など、これまでになかった動きが見られます。関係者の間では、8月上旬までに採決が行われる可能性が高いとの声も上がっています。この法案が通過するかどうかは、今後の相場における最大の山場になるとみられており、通過すれば強気材料に、否決されれば市場に悲観ムードが広がることが予想されます。
海外インフルエンサーの強気発言と、その背景
ここ最近、海外の著名インフルエンサーの間で強気な発言が目立って増えてきています。
- Doctor Profit氏(フォロワー約50万人):13万ドル付近を目標とする強気な相場観を発信
- マイケル・セイラー氏:「Next」とだけ記した投稿で、ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)による追加購入の可能性を示唆
- CryptoQuant CEO:今後数ヶ月で、弱気相場の痛みを和らげるような強気材料が到来すると発言
- プランB氏(ストックtoフローモデル考案者):現在の水準は、自身のモデルに照らして歴史的な「買い場」に当たると分析
こうした強気転換の背景としては、①季節性(例年、秋から冬にかけてビットコインが上昇しやすいというアノマリー)、②米インフレの鈍化を受けた利上げ懸念の後退、③クラリティ法案の進展期待、の3点が考えられます。加えて、直近では戦争再開などのネガティブなニュースが続く中でも、ビットコインが以前ほど大きく下落しなくなってきている点も、市場心理を下支えする要因になっていると考えられます。
アナリスト独自の視点:1年ホドルウェーブが示す「もう一段の下落」シナリオ
強気な声が増えている一方で、テクニカル分析の観点からは慎重な見方も存在します。注目すべき指標として、「1年以上動かされていないビットコインが市場全体に占める割合」を示す1年ホドルウェーブがあります。この指標は直近で底打ちし、上昇に転じています(現在62%程度)。これは、短期保有者が撤退し、長期保有者の比率が高まっていることを意味します。
過去の傾向を振り返ると、この指標が前回のピーク水準(69〜70%付近)まで回復する過程で、ビットコイン価格が底を打つというパターンが繰り返されてきました。2014年をはじめ、過去の複数のサイクルでこの傾向が確認されています。現在の水準(62%)から逆算すると、もう一段の下落が起こる可能性が高いと考えられます。
特に警戒すべきは、相場が「底打ちして秋にかけて盛り上がりそうだ」と見せた瞬間に、急落が起きるケースです。2年前の8月5日に発生した大暴落(一時4万9000ドルまで下落)がまさにこのパターンでした。同様の展開が、クラリティ法案の採決が見込まれる8月上旬から中旬にかけて起こる可能性があり、この時期の相場については注意が必要です。
主要銘柄のテクニカル分析(日足ベース)
| 銘柄 | 現在値 | 見通し |
|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | 63,900ドル | レンジ相場で上値が重い展開。62,000〜63,000ドルで売り買いが拮抗。下抜けなら62,000ドル再トライ、65,000ドル突破なら68,000→73,000→80,000ドルも視野 |
| イーサリアム(ETH) | 1,853〜1,869ドル | 1,930ドルの抵抗を試すも反落。1,770ドル(ダブルボトムのネックライン)で底打ちの可能性。200日移動平均線(2,239ドル)が上値の大きな壁 |
| XRP | 1.08ドル | 高値切り下げが継続中。1.03〜1.04ドルまでの下落シナリオを警戒する必要あり |
| ソラナ(SOL) | 73〜77ドル | 73〜74ドルのサポートを維持しつつ下降ウェッジを形成中。77ドル抵抗を突破できず陰線確定なら66ドルまで下落の可能性。一方、80〜81ドルの200日移動平均線を上抜けできれば90〜95ドルまでの上昇も視野 |
| ゴールド | 4,003ドル | 4,000ドル割れの可能性もあり、底打ちできるかが焦点。来週の動向に注目 |
| ドル円 | 162.44円 | 162円台での高値保ち合いが継続。その後、大きく方向感が出る展開を想定 |
アルトコイン全般については、不確実性の高い相場局面では資金がビットコインなど相対的に「安全」とされる資産に逃避する傾向があり、総じて上値が重い展開となっています。ただし、Solana、Chainlink、Ondo Financeなど、実需を伴う銘柄には引き続き注目が集まっています。
まとめ
現在の仮想通貨市場は、まさに「岐路」に立っている状況です。投資家心理は恐怖指数が示す通り依然として慎重ですが、テクニカル・規制の両面で、今後大きな値動きにつながりうる材料が揃いつつあります。
- 短期的には、1年ホドルウェーブの動向から、もう一段の下落が起こる可能性を念頭に置いておく必要がある
- 中期的には、クラリティ法案の採決(8月上旬〜中旬見込み)が市場心理を大きく左右する最大の山場になる
- マクロ面では、来週のFOMC・PCEに加え、イラン情勢を発端とした地政学リスクと原油価格の動向も引き続き無視できない要因
強気派・慎重派それぞれの見方が交錯する局面だからこそ、初心者から中級者まで、規制動向や指標を丁寧にウォッチしながら、慎重な情報収集を続けることが推奨されます。

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