市場概況
現在のビットコイン価格は6万6800ドル前後で推移している。7万ドル付近で一時的に下げ止まりの動きも見られたが、ロングポジションの大量清算(リクイデーション)によって急落に見舞われた。
アルトコイン市場でも5%を超える下落幅を記録した銘柄が相次いでいる一方、ニアプロトコル(NEAR)やICP(Internet Computer)は逆行高を見せており、注目に値する動きとなっている。
なぜ仮想通貨は売られているのか
仮想通貨市場に固有のネガティブ材料が出たわけではない。ストラテジーによる32BTCの売却など小規模な売り要因はあるものの、これほどの本質的な下落を引き起こす材料とは言いがたい。
最大の要因として挙げられているのが、AI関連銘柄への資金シフトだ。現在、投資家の関心はAI関連に集中しており、仮想通貨から引き上げた資金がそちらへ向かっているとみられる。
さらに注目すべきは、SpaceX・Anthropic・OpenAIという3社の大型IPOの動向だ。機関投資家がこれらの株式取得に向けて資金を手当てする過程で、ビットコインをはじめとする仮想通貨が売られているとの見方が広がっている。
AIバブルが一段落するまでは、仮想通貨市場への資金流入は期待しにくい状況が続きそうだ。
追い打ちをかける悪材料
ロング勢の大量清算
バイナンスの先物市場では、今回の下落によってロングポジションが大量に清算された。その規模は2025年7月以降で最大水準であり、5月中旬から続くロング清算の累積も相当な量に上っている。
ETF市場からの資金流出
ビットコインETF市場でも約2週間にわたって資金流出が続いており、改善の兆しが見えない。この状況が反転しない限り、相場の回復は難しいと言わざるを得ない。
マウントゴックスのウォレット移動
2ヶ月ぶりに約1180億円相当のビットコインが移動されたことも懸念材料となった。金額規模としては市場に決定的な影響を与えるほどではないものの、タイミングの悪さもあってリスクオフムードを高める一因となった。
トレジャリー企業の含み損
世界中のビットコイン保有企業(トレジャリー企業)の平均取得コストは約7万8000ドルとされており、現在の価格水準ではほぼ全社が含み損の状態にある。6万ドルを割り込むような局面になれば、一斉に投げ売りが発生するリスクも頭に入れておく必要がある。
ストラテジー(旧MicroStrategy)のマイケル・セイラー氏も、ビットコインを「ただ買って持つだけ」という方針から、様々な金融商品を組み合わせながら柔軟に運用していくスタンスへと軌道修正した発言をしている。トレジャリー戦略の時代が曲がり角を迎えつつある可能性がある。
マクロ環境の確認
米国株市場は引き続き堅調で、主要3指数が揃って上昇した。欧州・アジア市場も良好な推移を見せている。
ただし、インフレ懸念は完全には払拭されていない。アジア諸国による米国産原油の輸入増加が報道される一方、全需要を賄いきれるかどうかは不透明だ。本日発表のADP雇用統計やISM非製造業景況指数、そして今週金曜日の非農業部門雇用者数も重要な注目ポイントとなる。労働市場の底堅さが続けば、年内のFRB利上げ観測が浮上し、仮想通貨市場にとってさらなる向かい風となりかねない。
イラン情勢についても、停戦に向けた米イラン交渉が数日前から停止しているとイランメディアが報道しており(トランプ大統領は否定)、緊張緩和にはなお時間がかかりそうだ。
AI規制強化は仮想通貨の追い風になるか
トランプ大統領がAI規制に関する大統領令に署名したことが報道された。一見するとAI関連バブルの終焉を想起させるが、内容を精査するとイノベーションを阻害するものではなく、国際競争力を確保しながらAI基盤を整備する趣旨のものだ。むしろ特定分野への投資がさらに集中する可能性も指摘されており、AIバブルが弾けるような気配は現時点では感じられない。
まとめ
仮想通貨市場が回復軌道に乗るためには、以下のいずれかが実現する必要があると考えている。
- イラン情勢の停戦・緊張緩和
- AIバブルの一服(資金の仮想通貨回帰)
- 米国の暗号資産関連法案(クラリティ法案)の成立
現時点ではいずれも実現の見通しが立たず、ビットコインはしばらく低迷が続く可能性が高い。ただし、状況が変われば相場は一変するのがこの市場の特性でもある。日々の情報をしっかりウォッチしながら、柔軟に対応していきたい。

コメント