仮想通貨市場レポート 26年5月22日

要約

現在の仮想通貨市場は「調整局面」にあり、ビットコインは7万7500ドル付近で上値が重い展開が続いています。

アメリカとイランの和平交渉進展への期待が株式市場を押し上げた一方、ビットコインへの波及効果は限定的でした。

機関投資家の売り圧力増大、現物ETFからの資金流出継続、コインベースプレミアムの低下など、短期的には弱気材料が目立ちます。イーサリアムもロングスクイーズリスクが指摘されており、目先の急落に注意が必要です。

ただし長期保有者の供給量増加や週足RSIの50回復など、長期的には底固めが進んでいる兆候も見られます。

相場の本格回復にはアメリカのクラリティ法案成立とイラン情勢の終結が鍵となります。

市場全体のセンチメント(空気や気分を表す)

現在の市場は「調整局面」にあると表現するのが最も適切です。強い上昇・下降トレンドの後、価格が横ばい状態にあり、買い手(ブル)も売り手(ベア)も完全に主導権を握っていない状態です。市場が一息つき、次の大きな動きを模索している段階と言えます。

市場の先行指標であるビットコインは一定のレンジ内で推移しており、価格形成の過程にあることを示しています。この横ばいの動きは短期トレーダーにとっては苛立たしいものですが、多くの場合は次の上昇局面に向けて安定した基盤を築いている健全な兆候と言えます。市場心理を測る「恐怖と貪欲指数(FGI)」は「中立」圏で推移しており、広範な不確実性を反映しています。


本日の相場データ

ビットコインが現在7万7500ドル(円建て:1233万円、前日比+0.1%)。昨日一時7万8000ドル台に到達しましたが、その後若干反落しており、上値が重い雰囲気が感じられます。

ETHは33万8000円で同じく+0.1%の上昇。市場全体がほぼ横並びの数値となっており、データのバグの可能性もあります。


アメリカ株式市場

昨日のアメリカ株式市場は主要3指数が揃って上昇しました。序盤は中東への警戒で重さがありましたが、中盤にかけて原油価格が切り返して下落し、終盤にかけて地合いが持ち直しました。

背景にあるのはアメリカとイランの和平交渉の進展です。パキスタンの仲介による和平案草案への合意が近いとイランメディアが報じました。イランの外相は「合意にはまだ至っていないが、溝は縮小している」と述べており、ルビー米国家安全保障担当補佐官も「前向きな兆しが出ている」と発言しています。トランプ大統領も「最終局面まで来ている」と繰り返し述べており、本当であれば近く合意に至る可能性が期待されています。

イランの通信(21日報道)によると、イランはアメリカから提示された文書への回答を現在作成中で、提案はある程度の隔たりを縮めるものと伝えられています。交渉における主な隔たりは核問題であり、この部分でも溝が縮まったとすれば、戦争終結に向けた動きが近いかもしれません。ただしトランプ大統領は今回合意に至らなければ攻撃を再開すると宣言しており、引き続き警戒が必要です。


アメリカ経済指標

昨日発表された新規失業保険申請件数は前週から3000件減少し、20万9000件となりました。労働市場の強さが改めて示された形です。雇用が安定し物価が上昇している状況では、セオリー通りであればFRBは利上げで物価を抑制する方向に向かいます。ただしこのインフレが戦争による一時的なものであれば、戦争終結により利上げまでは必要ないという判断になる可能性もあり、判断が難しい局面です。現在FRB議長も交代していることから、今後の動向にはますます注目が集まるでしょう。

本日は特に重要な経済指標の発表はありません。来週月曜日はアメリカ市場が休場となり3連休に入ります。連休中に相場が大きく動くケースは過去にも多くありましたので、この3日間は注意が必要です。


仮想通貨市場の動向

ビットコイン(BTC)

「デジタルゴールド」としてのビットコインの役割はますます強固なものとなっており、価値の保存手段・機関投資家向け資産としての位置付けが定着しています。大手金融機関や企業による採用が続いており、価格の強力な下支えとなっています。

ただし現在は調整局面の真っ只中にあります。アメリカ・イラン和平合意の報道を受けて株価が5000億ドル上昇し原油価格は急落しましたが、ビットコインは7万8000ドルまでしか上昇しませんでした。市場がまだ合意を完全には信じ切れていない状況です。本当に戦争終結・和平合意のニュースが入れば一段と強く動く可能性がある一方、交渉が再び難航し攻撃が再開されるようなことになれば、もう一段の下落も考えておく必要があります。

大きな下落・安値更新の可能性は極めて低いとも指摘されています。長期保有者の供給量が1500万BTCを突破しており、総供給量の71%まで増加しています。市場でアクティブに流通しているのは残り約20数%という状況で、希少性の高まりが価格を下支えしています。5万ドルや4万ドルへの下落は現時点では可能性が低いとされています。

週足RSIにも注目すべきパターンがあります。週足RSI50を下回って弱気相場に入り、再度50を上回るタイミングから上昇トレンドが始まるという過去の傾向が指摘されており、2018年・2022年の弱気相場明けでも同様の動きが見られました。現在まさに50突破を試みており、しっかり回復できれば長期的な上昇局面へ移行するという分析がされています。

前回の半減期(新規発行量が半減するイベント)の影響は現在もなお続いており、歴史的に見ると半減期後の数ヶ月は強気相場となる傾向があります。ただし今回のサイクルはより広範な経済情勢により独自の様相を呈しています。

機関投資家の動向

機関投資家や新規資金の流入がなかなか見られません。コインベースプレミアム(機関投資家が多く利用するコインベースと個人投資家に好まれるバイナンスのビットコイン価格差)が月間最安値を記録しており、アメリカの機関投資家の売り圧力が高まっていることを示しています。

ビットコイン現物ETFからの資金流出も止まっておらず、今年1月以来の大きな流出が続いています。相場上昇時の利確売りが広がっている可能性が高く、新たな材料がない中では積極的な買い増しの動きも起きにくい状況です。ビットコインの需要は4ヶ月ぶりの低水準に陥っており、安値はじりじりと切り上げているものの、大きな値幅にはなっておらず低迷が続いています。

イーサリアム(ETH)

イーサリアムはイノベーションの原動力として顕著な強さを見せており、レイヤー2スケーリングソリューション(Arbitrum・Optimism・Polygonなど)の普及により、トランザクションの高速化・低コスト化が実現しました。DeFiとNFTの分野でも揺るぎない地位を維持しており、「マージ」(プルーフ・オブ・ステークへの移行)によるETHの供給量デフレ化という長期的な好影響も続いています。

ただし現在は短期的なリスクが高まっています。取引所への現物流入が急増し、ファンディングレート(資金調達率)も上昇しています。2100ドル付近でレバレッジをかけたロングポジションが積み増されていますが、この状況は今年1月の大幅下落時と全く同じパターンです。期待を込めたロング勢が大量に狩られるロングスクイーズが起きる可能性が指摘されており、目先の急落に注意が必要です。

規制とマクロ経済環境

規制環境は依然として一様ではなく、地域によってアプローチが異なります。アメリカではクラリティ法案の成立が相場の重要な追い風になると見られており、SECなどの重要な決定は市場に大きな変動をもたらす可能性があります。

マクロ経済面では、インフレ率・中央銀行の金利決定・世界経済全体の健全性が仮想通貨市場に大きく影響します。金利上昇はリスク資産の魅力を低下させる傾向がありますが、緩和的な金融政策は追い風となります。


トレーダーへのアドバイス

初心者向け: この調整局面は学ぶ絶好の機会です。ビットコインとイーサリアムのファンダメンタルズを理解することに集中し、ドルコスト平均法(DCA)で着実にポジションを構築していきましょう。話題性だけのミームコインには注意し、実績のあるプロジェクトを優先してください。

中級者向け: RWA・AIなどの成長セクターの強みを探しつつ、BTCとETHの支持線・抵抗線を注意深く観察してください。有望なレイヤー2プロジェクトや、ファンダメンタルズがしっかりしているアルトコインを調査する良い機会ですが、過剰なレバレッジは避け、明確な取引開始・終了計画を常に立てておくことが重要です。


総括

仮想通貨市場は成熟と統合の段階にあります。過去の投機的熱狂は、真の有用性・技術革新・持続可能な成長への注力へと変わりつつあります。短期的には相場回復の兆しは見られず、特にアメリカでの需要減少が課題です。相場の本格回復にはアメリカのクラリティ法案成立とイラン情勢の終結が鍵となります。

一方で機関投資家の採用拡大と技術進歩という長期的なトレンドは、慎重ながらも楽観的な見通しを支える強固な基盤となっています。情報に基づいた判断力と忍耐力を持つトレーダーにとって、現在の状況は多くの機会を提供しています。

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